第11章 離れゆく心
朝目が覚めると熱が下がっておりだるさもないので、洗ってくれていた隊服を着て出勤する。
解放戦力が低い人たちの訓練は、副隊長が見ている人たちと合同となった。
お前が教える立場なんて不安過ぎると言われて…。
訓練が終わりご飯を食べて大浴場で汗を流してから執務室で作業をしていると、また身体がだるくなって少し熱が上がっているようだ。
机に頬をつけてだらしなく腕を垂らしていると副隊長が来て、額を触られる。
「また上がっとんな。もう休め。」
昨日何も出来なかった分、やらないと…。
「僕がやっとくから……。」
「副隊長がいないと寝れないんです…!」
驚いた顔をした彼はすぐに眉を下げて困ったように顔を歪めた。
昨日も一昨日も副隊長がいたから眠れたんだろう、その前はあまり眠れていない。
「……一緒に寝るか?」
「やです、虚しいので。」
意識がはっきりした状態で寝ても、振られた相手だと虚しいだけだ。
あぁ、また困らせた…別れているのにずっと一緒に寝てくれるはずなんてない。
「すみません、これを終わらせたら1人で寝ます。」
彼は何も答えずに書類を半分以上奪って作業を続ける。
なんとか終わらせて席を立つと副隊長もついてきて、同じ仮眠室に一緒に入ってきた。
「あの…部屋、空いてますよね?」
「覚えてへんの?僕が見る言うたの。生活能力無さすぎる君を。飯もまともに食わんし寝やんし、オーバーワークはするし…なんも変わってへんやろ。」
オーバーワークは最近してません。
寝るで〜と隊服を脱がされてベルトまで外された。
ベッドに座らせられるとブーツを脱がされて、副隊長も同じ格好になる。
ポケットからスマホを取られ、耳から通信機を外される。
「目ぇ瞑り?ねんねころり…。」
「子供じゃないんですけど。」
布団の中に入ると腕の中に閉じ込められて、背中をとんとんされる。
「でも、落ち着くやろ?ほら、りっちゃん寝るで。」
久しぶりにその呼び方された。
「ええな、この呼び方するか。りっちゃん。」
ハートがつきそうな程甘い声で呼ばれて、胸が高鳴る。
それを誤魔化すようにもう寝ますよと言って、距離を縮めてから目を瞑った。