第11章 離れゆく心
お風呂が沸くと脱衣所に連れてこられて服を脱がせてくれる。
ありがとうございますと浴室に入ろうとすると、後ろで服を脱ぐ気配がして振り向いた。
「あ、あの、1人で大丈夫です…。」
「倒れたらあかんし、一緒に入るで。」
ぶるぶると震えながら服を脱ぐ彼を見る。
関節の痛みに耐えながら髪や身体を洗ってお湯に浸かった。
すぐに洗い終わった副隊長も向かい合うように入ってきて、大丈夫か?と頬を撫でる。
別れたのにこんなに優しくされると、忘れることが出来なくて辛い。
膝を抱えてボーッとしながらぽろぽろと涙をお湯に零していく。
「どっか痛い?辛いんやろ、どうして欲しい?」
そんなこと聞いたって、どうせしてくれないくせに。
その胸に縋ってよりを戻してと言いたい。
裸で距離が近過ぎるからもう上がろうと立ち上がると立ち眩みがしてふらつく。
「おっと…急に立ったらあかんよ。」
すぐに立ち上がって支えてくれた彼の反射神経に感嘆する。
いいよね、少しくらい…。
そっとその胸に寄りかかり、身体を預ける。
すると抱えて浴室から出て身体を拭くと、着替えを持って来るのを忘れたので立ってられるか聞かれた。
頷き彼が脱衣所から出るのを見てから膝をついた。
くらくらする…。