• テキストサイズ

未来の為に【怪獣8号:保科宗四郎】

第11章 離れゆく心


ご飯が出来たのか運んできてスプーンを持たせられる。

正直、食欲がない。

でも食べないと副隊長が食べれなそうなので、少しずつ口に運ぶ。


ゆっくり何口か食べてるうちに隣の彼は食べ終わり、無理せんでええでと言ってくれた。

入りそうもないのでスプーンを置くと、副隊長は片付けてお風呂を沸かしに行った。


戻ってきてソファに座った彼に抱きつきたいが、我慢して横になる。

あの時みたいに離せと言われたくない。


「神谷…?」


「やだぁ…。」


「え、何が?」


「お姉ちゃんと付き合ってるの?だから、私のことは苗字で呼んで、お姉ちゃんは名前で呼ぶの?」


こんなこと聞きたくないのに…付き合ってるって言われたくないのに…なんで聞いてしまうんだろう。

耳を塞いで目を固く瞑った。


力が入らない手は簡単に耳から引き剥がされて、耳元で囁いてくる。


「付き合ってへんよ。誰とも付き合わへんし。君のこと名前で呼んだら何するかわからへん。2人のこと神谷って呼ぶんも、ややこしいやろ?」


それでも嫌だ、なんで姉のことを…言いたくて仕方ないが、グッと飲み込んだ。

うざいって言われたくない、しつこくしたらダメだ。


目を瞑ったままズボンを抱き締めた。


「ほんで、それなんなん?なんで僕の服取るん?」


「匂い…。」


え?と聞き返されたが、もう答えるのはやめた。

副隊長も特にそれ以上は聞くこともなく、膝掛けを掛けてくれる。


スマホを弄り出した彼を尻目に縮こまって震える。


「薬切れてきた?寒い?風呂どないしよか…。」


さすがにこんな汗塗れでは寝たくない。

鎮痛剤を飲むと暑くなって汗をかいてしまう。


「入りたいです。」


「そうやよな、ちゃんと乾かさなあかんで?」


はいと頷き、自身を抱き締めて寒さに耐えた。

/ 153ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp