第11章 離れゆく心
「ふらついとるで、おんぶしよか?」
「大丈夫です…。」
おんぶなんて、そんな恥ずかしいこと、人前でなんて出来ない。
そのまま自分で歩いて副隊長の家に辿り着いた。
あれ、なんで副隊長の家に来てるんだっけ…とボーッと考える。
真っ直ぐベッドまで連れてこられて、買い物をしてくるからと彼が出ていった扉を見つめた。
寂しいな…。
布団を引き寄せて匂いを嗅ぎ、好きな人に包まれている感覚になる。
鼻が効いていてよかった。
ぎゅうと布団を抱き締めて顔を埋めた。
優しくて爽やかな匂い…セックスをしている時は普段とは少し違う匂いがする。
どっちも好き…全部好き。
どのくらいかすると玄関から音がして、そのままリビングまでの足音を聞き、なかなか来ない彼に寂しさを感じて、自分で彼の元へ向かう。
リビングに行くとキッチンにいる彼を見つけて、何も言わずに隊服を剥ぎ取った。
「え、ちょ…どしたん?」
今まで着ていた隊服ならもっと匂いがするかもしれない。
頭から掛けてその匂いに包まれるとドキドキする。
ボーッとする頭では、変態過ぎる自身の行動を恥ずかしいとも思わなかった。
そのまま隊服を抱き締めてソファに身体を預けた。
「えぇ…意味わからんのやけど…。」
ずっと抱き締めていれば自身の匂いで匂いがわからなくなる。
もう一度副隊長のところに行き、インナーに触れた。
「脱いでください。」
「え…なんで?」
嫌やと言うので、インナーを脱がせるのが面倒で、ベルトを外しズボンを足首まで下げた。
「ちょ、待ちぃ!なんやの?何がしたいん?」
ソファに置いてきた隊服を持ってきて肩に掛ける。
「交換です。」
「いや、なんで?」
足首まで下ろしていたズボンが腰まで上がっていたので、もう一度下ろして引っ張ると、足を上げてくれる。
脱がしたズボンを持ってソファに横になった。
わけわからんとぶつぶつと呟いている彼は無視した。