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未来の為に【怪獣8号:保科宗四郎】

第11章 離れゆく心


その後、すぐに副隊長がご飯を持って来た。


「僕が態々食わせるんや、食えへんわけないよな?」


胃が驚かないようにお粥を食べさせられる。

レンゲで掬ってふーふーと冷まして口に運ばれるのが、私だけの副隊長のような気がして嬉しかった。


「ほな、僕行くで。飯食わんといけんし。ちゃんと寝ろよ。」


やっぱり、ご飯も食べずに来てくれたんだ。

はいと返事をしたが、眠れることはないだろう。


副隊長がいなくなって少しすると薬が切れたのか、身体がだるくなり辛くなる。

頭が痛くて息も荒くなりボーッとする。


薬を貰おうかとも思ったがいいやとなってしまい、そのまま震える身体を抱き締めて縮こまった。

宗四郎に会いたい…さっきまでいてくれたのに、寂しくなってそんなことを思ってしまう。


「宗四郎…戻ってきて……。」


ずっと私の傍にいて…。

その後とずっと彼の名前を呼び続けた。


「神谷?どうしたんや?辛いやろ…甘えてええで。」


布団の上から肩を撫でられて振り向き、その手を握った。


一緒に来た医療班の人に体温計を渡されて脇に挟む。

ピピッと音が聞こえて、私が取る前に副隊長に取られた。

副隊長は確認してから医療班の人に渡して解熱剤を受け取る。

それを口に入れられて、急須のような透明の入れ物に入った水を飲まされた。


「39.7℃や。なんで我慢しとったん?」


「ごめんなさい……。」


微笑んで頭を撫でてくれて、彼は医療班の人に風邪やんな?と聞いている。

頷いた医療班は今日はこのままここにいるのか聞いていた。


「連れて帰るわ。ただの風邪やったら、僕やって診れる。」


解熱剤が効いてきたら帰ろうと言われ、頷いて握っていた手を自身の身体に引き寄せた。

ぎゅうと胸に押し付け、私の体温よりも冷たい彼の温度を感じる。


30分程経った頃、解熱剤が効いてきて手を握ったまま起き上がった。


「ふっ、髪ボサボサやで。」


優しく髪を戻されてベッドから降りると、繋いだままの手は気にせずに基地を出ていく。

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