第11章 離れゆく心
その後、すぐに副隊長がご飯を持って来た。
「僕が態々食わせるんや、食えへんわけないよな?」
胃が驚かないようにお粥を食べさせられる。
レンゲで掬ってふーふーと冷まして口に運ばれるのが、私だけの副隊長のような気がして嬉しかった。
「ほな、僕行くで。飯食わんといけんし。ちゃんと寝ろよ。」
やっぱり、ご飯も食べずに来てくれたんだ。
はいと返事をしたが、眠れることはないだろう。
副隊長がいなくなって少しすると薬が切れたのか、身体がだるくなり辛くなる。
頭が痛くて息も荒くなりボーッとする。
薬を貰おうかとも思ったがいいやとなってしまい、そのまま震える身体を抱き締めて縮こまった。
宗四郎に会いたい…さっきまでいてくれたのに、寂しくなってそんなことを思ってしまう。
「宗四郎…戻ってきて……。」
ずっと私の傍にいて…。
その後とずっと彼の名前を呼び続けた。
「神谷?どうしたんや?辛いやろ…甘えてええで。」
布団の上から肩を撫でられて振り向き、その手を握った。
一緒に来た医療班の人に体温計を渡されて脇に挟む。
ピピッと音が聞こえて、私が取る前に副隊長に取られた。
副隊長は確認してから医療班の人に渡して解熱剤を受け取る。
それを口に入れられて、急須のような透明の入れ物に入った水を飲まされた。
「39.7℃や。なんで我慢しとったん?」
「ごめんなさい……。」
微笑んで頭を撫でてくれて、彼は医療班の人に風邪やんな?と聞いている。
頷いた医療班は今日はこのままここにいるのか聞いていた。
「連れて帰るわ。ただの風邪やったら、僕やって診れる。」
解熱剤が効いてきたら帰ろうと言われ、頷いて握っていた手を自身の身体に引き寄せた。
ぎゅうと胸に押し付け、私の体温よりも冷たい彼の温度を感じる。
30分程経った頃、解熱剤が効いてきて手を握ったまま起き上がった。
「ふっ、髪ボサボサやで。」
優しく髪を戻されてベッドから降りると、繋いだままの手は気にせずに基地を出ていく。