第11章 離れゆく心
医療班の元へ来て、点滴をさせられた。
どうやら、朝に飲まされた薬は解熱剤らしく、今は大丈夫なようだ。
医療班の人が原因は、ストレス、栄養失調、睡眠不足だと保科副隊長の前で言うので、思わず顔を背けた。
「……君、僕がおらんとほんまにあかんな。ストレスは…僕のせい?」
「いえ、大丈夫デス。チガイマス。」
「ほんまおもろいやっちゃなぁ。わかりやすぎやろ…ふふ。」
ちらっと彼の方を見れば、八重歯を見せて笑っている。
あぁ、ドキドキする…好きになった笑顔。
副隊長は医療班の人に、飯は僕が来てから出せと言って訓練をしに行った。
また彼に負担をかけている、迷惑をかけている、そんな自分が嫌になった。
寝てろと言われたが寝れずにお昼になり、朝は何故、彼に弄られているのも気付かず眠れていたんだろうと首を捻った。
昼休憩に入った頃、通信機から副隊長の声が聞こえてくる。
「璃子、朝のことやけどな、神谷が熱出しとったから身体拭いたりとかしとったんや。やから水音もするし、喘ぎ声やって苦しいと出るやろ。」
これは…恐らくわざと全体通信にしているのだろう。
亜白隊長に私たちで収めろと言われたから、こうやって姉に理由を話しているのをみんなに聞かせて、収めようとしている。
それに身体を拭いていたと言えば、朝に私の下着姿を見た隊員にもわかってもらえる。
ただ、姉がいつから聞いていたのかは知らないが…。
1人で私たちの問題を解決してくれるのは嬉しいが、やはり姉を名前で呼ぶのだけは辛かった。