第11章 離れゆく心
「神谷、ええ…せんくてええ。」
意味がわからずに手をついたまま彼を見つめる。
副隊長は近寄ってきて私を抱えて座らせると、額に手を翳した。
「やっぱまだ熱下がってへんな。休むか?」
「熱…?いえ、大丈夫です。」
気付いた亜白隊長が無理をせず休めと言ってくれるが、本当に体調は大丈夫なので断りお礼を言う。
「そうか…なら、お前ら2人は私についてこい。神谷は話が終わった後、大丈夫なら訓練を頼む。」
やっぱそうなりますよねぇ…他の隊員にも聞かれたんだし。
小石や砂がついた私の手を払い、腰を抱いて歩き出す彼に大丈夫ですと言うが離してくれなかった。
建物の影まで来ると隊長に断って何故か横抱きにされる。
「ふらふらしとるんで、すんません。この後、医療班のとこ連れていきます。」
気にするなと言う亜白隊長は手短に話し始める。
「基地内では程々に…それと、今回のことはお前らが収めろ。神谷は今日は休め。保科は神谷の分も頼むぞ。」
「「了。」」
どうやらお咎めはないようだ、よかった…。