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未来の為に【怪獣8号:保科宗四郎】

第2章 過去を抱き締める


「神谷、僕は昔から銃器の解放戦力が低い。せやけど、僕は防衛隊員になりたかった、隊員でありたかった。亜白隊長が僕を見付けてくれた。今度は僕が、君の存在価値を見付けたる。」


親指で私の頬を撫で涙を拭いた彼は、行こかと手を引いて執務室から出ていく。

どこに行くのだろう。


ここは…道場?

手を引かれて連れて来られた場所は道場で、着替えろと道着を渡された。

受け取ると保科副隊長は隊服を脱ぎ始めて慌てる。

目の前で着替えないで!?


「スーツ着る為にインナーとか着とるやろ、はよしぃ。」


それでも、普段見ることのないインナーから浮き出る筋肉に心臓が痛い。


早くしろと怒られてしまったので、恥を捨て服を脱ぎ捨てた。


道着に着替えて竹刀を構えながら向かい合う。


打ち込まれた技を躱し、面を取った。

保科副隊長から1本取れた…?

手加減でもしているのだろう、最初だし実力を見ていたのかもしれない。


「ほう?ほな、僕も本気出そかな。」


やっぱり手加減をしていた。

だが、保科副隊長に本気を出されては、私は痣だらけになってしまう。


慌てて止めたが、嫌やと笑われ打ち込んでくる。

必死でそれを防いで私も攻撃しようとしたが、する暇がない。


「終わりや。僕に1本も取らせてくれへんなんて…君、なんなん?」


やっと終わった…ずっと打ち込まれていてそれを必死で全てを防いだ。


挨拶をしてから床にへたり込み、肩で息をする。

顔の防具を外した彼は、汗の1粒も垂らしていなかった。

嘘でしょ、私は汗だくなのに…。


目の前に来た彼は防具が外れた私の顔を下から片手で掴み、頬に指を押し込む。

何をするんだ…。


「言うたやろ、君の存在価値を見付けたるって。明日から僕が訓練つけたる。サボったらきつーいお仕置が待っとるからな。」


了と返すと頬を掴んでいた手が頭に移動して撫で、ええ子やと笑った。

その笑顔に少しの間、見惚れていた。


保科副隊長を信じる、彼の下にいれば私は強くなれるんだと、漠然とそう思った。

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