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未来の為に【怪獣8号:保科宗四郎】

第10章 悲しみの中で


鳴海隊長に行ってこいと背中を押された。


「話し合えと言っただろう?」


「だってもう、話し合える状況じゃ…。」


なんでさっき、鳴海隊長の背中に隠れてしまったんだろう。


君なら大丈夫だと笑顔を向けられて、慌てて副隊長の後を追いかけた。

声をかけても振り向いてくれないし、止まってもくれない。


「保科副隊長!……宗四郎、好き。」


背中に抱きついて想いを伝えても止まってくれなくて、ずるずると引き摺られる…。

抱きついてるのだから、止まってくれても…。


足に力を入れて踏ん張っても意味がないので、その細い足にどれだけ筋肉がついてるのだと疑問に思った。

もしや、足の筋肉の問題ではないの?これって。


そんなことを考えていると離せと小さい声が聞こえた。


「もう少しちゃんと話そ…前はあのまましちゃったからあまり話せなかったでしょ?」


「話すことなんてあらへん。はぁ……めんどいわ君。振られたんやから、いつまでも執着せんでくれん?うざい。」


は?何よ、あなただって鳴海隊長に牽制ばっかしてるじゃん。

なんで私ばっかりこんな振り回されるの…?

私が好き過ぎるのがいけないのかな…宗四郎は私と同じくらいの気持ちがあるわけじゃないんだ…。


「……バカっ!!」


「は?お前、上官に向かって……。」


全力で走って逃げて、もう話なんて出来ないと思った。

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