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未来の為に【怪獣8号:保科宗四郎】

第10章 悲しみの中で


他の隊員と話し始めた彼を遠目で見て、声をかけられたのでついていった。


「なんで別れたんだ?」


みんなとは少し離れたところに連れて来られて、適切な距離を取った鳴海隊長に真っ直ぐ見つめられる。


「ナンバーズです。心身に大きな負荷がかかる為、この先どうなるかわからないからと…。」


「ボクだってレティーナを使ってる。そんなの、言い訳にしかならんだろ。お互い想い合ってるのに、別れる必要はどこにある。」


他の女のとこに行く口実だろと近付いてきて、手を握られた。


人それぞれ違うように、鳴海隊長と保科副隊長もそれぞれ違う考えを持っているのだろう。

それをどうこう言える立場ではない。


「何度も嫌だと言いました。でも、無理でした。だからもういいんです。私はただ彼を好きでいるだけです。昔みたいなことはもうしない、あの人だけを想って生きていきます。」


「……辛すぎるだろ、そんなの。もっとちゃんと話し合え。じゃないと、ボクはなんの為に君を手放したんだ。」


何も言えなかった。なんて言ったらいいかわからなかった。

話し合えと言われても、もう彼にはそんな気がないようだし、なんの為にと言われても、あなたのことはもう傷付けたくないから…。


「やから、鳴海隊長?手ぇ出さんでください言いましたよね?」


「元はと言えば璃沙は第1のもんだ。」


「いつまで名前で呼んでるんです?それと…第1とか第3とかどうでもええです。この子に手ぇ出されたら僕が困るんで。」


いきなり現れた保科副隊長は、私の手を握っていた鳴海隊長の手を振り払い間に入る。


そんなことされたら、そんなこと言われたら…どうしていいかわからなくなる。

私の言葉は聞いてくれないくせに、なんでそんなこと言うの?


副隊長の背中から移動し、鳴海隊長の背中に裾を握りながら隠れる。


「は……嫌や、なんでそないなことするん?…いや、なんでもない。もう恋人でもなんでもないんや、好きにしたらええ。」


わからない、あの人がわからない。

離れていく、いつもよりも小さく見える副隊長の背中を見つめた。


付き合わないけど、他と付き合うのは嫌?
恋人でもない人が縛る権利はないんですよ?

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