第10章 悲しみの中で
執務室で作業をしていると行くでと小隊長らと連れられていく。
小隊長たちはなんなのか知っているようだが、私は知らない。
どこに行くのだろう。
隊の車両の中で揺られながら辿り着いた場所で、口をぽかんと開けたまま呆ける。
教えてくれてもよかっただろう…有明に来るのなら。
恐らく、前に言っていた対9号対策特化の師団会議をするのだろう。
私たちが基地内に入ると、鳴海隊長を筆頭に第1部隊の隊員たちと睨み合いになる。
これ、始まるな。
「保科ぁ、ワレ、誰の許可取ってワシのナワバリに足踏み入れとんのじゃあ。」
「これはこれは、鳴海隊長自らお出迎えとは、ご大層で。」
保科副隊長と鳴海隊長が、いや…保科副隊長が煽りまくっている。
そのおかげで隊員たちも言い争いになってしまった。
「だいたい、なんの為に身を引いたと思ってる。」
「なんの話ですか?」
「そうかそうか。璃沙、ボクの権限で君を第1に戻してやるぞ。」
手を引かれて後ろから肩を抱かれる。
そういうことか…戻る気はないのですが。
「私はほし…わっ!」
今度は保科副隊長に手を引かれて背中に隠された。
なんなんだ、この2人は…。
「うちの隊員に手ぇ出さんでもらえますか?亜白隊長にお仕置されるんで。」
鳴海隊長ははぁあっ!?と大声を上げて怒っている。
どう考えても独占欲だろという言葉に副隊長は何も答えなかった。
「私は保科副隊長の下じゃないと強くなれないのです。戻るつもりはありません。」
その時、パァン!!といい音がして、鳴海隊長は長谷川副隊長にハリセンで叩かれていた。
よかった、彼がいればこの争いも終わるだろう。