第9章 心は傍に
宗四郎の家に帰り、彼は包帯を取っていく。
「腕は濡れへんようにな。」
「恥ずかしいかも…。」
胸を見られるのが少し恥ずかしかった。
もう何度も見られているのに。
「ふっ、可愛ええな。なんもせぇへんから安心し?」
コクっと頷いて、彼が自身の包帯を取るのを待つ。
取り終わった彼は私の腕にギプスカバーをつけ浴室に入った。
髪も身体も洗ってくれる。
折れた肋の部分は触れているか触れていないかわからない程、優しくしてくれた。
洗い終わると浴室から出され、身体を拭いてくれる。
「んっ……今触った。」
「拭いとるだけやん?」
タオル越しに胸の突起に触れられ、僅かに声を漏らしてしまった。
ニヤっと口元を歪ませた彼を睨む。
絶対わざとだった。
「あかんわぁ、めっちゃ抱きたい。ずっと我慢しとったのに、まだ我慢せなあかんの…。」
ごめんと謝り頭にキスをした。
「僕まだ洗ってへんのに…。」
身体を拭き終わり包帯を巻こうとした彼を浴室に戻し、全裸のままリビングに来た。
下着くらい履かせてもらえばよかった。
脱衣所に戻り少し出た指先で下着を持ってまたリビングに戻る。
どうにか履こうとしたが肋が痛くて無理だった。
足首にある下着を睨む。
「あの…服、着せて欲しい…。」
シャワーを浴び終えて戻ってきた彼を見る。
「そんまんまでええやん。」
自分はちゃんと服を着てるくせに…。
彼を見つめていると笑いながら謝り、下着を履かせてくれた。
そのまま湿布を貼り、包帯も巻いてくれた。
「あ…ごめんなさい、宗四郎の包帯…。」
自分で出来ると言い器用に巻いていく。
あなた、肋は折れてないの?さっきから普通にしてるけど…。
聞いてみるとほぼ打ち身だけのようで、君のおかげやと感謝された。
私は何もしていないのだが。