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未来の為に【怪獣8号:保科宗四郎】

第2章 過去を抱き締める


あれからまた半年近くが経ち、立川に来てから1年が過ぎようとしていた。

自主トレーニングをしなくなり、訓練すらサボり気味。

いろんな男を引っ掛け寂しさを埋めていたが、ただ虚しいだけだった。

姉すらもそんな私から目を逸らした。


だが、あの人への想いは消えない、消させてくれない。

私の中身を見てくれる、男と身体を重ねる度に叱ってくれる。

あの人だけが私自身を見てくれるのだ。


サボらず訓練に参加した時は頭を撫で褒めてくれる、そんな当たり前のことを褒めてくれる。

あの人は優しさの塊だ。


「このままやと除隊なるで、ええんか?前はオーバーワークするくらい真面目やったやないか、何がお前を変えた。」


「……もう辞めるのでどうでもいいです。」


「ええから。何があった、言いや。僕は全部受け止めたる。なんでお前はそないに自分を追い詰めてる?」


あぁ…誰かにそう言ってもらいたかった、私の全てを知って、全てを受け入れて欲しかった。

寂しかった。

だけど、どうしてよりによってあなたがそんなことを言うの?

私の気持ちには答えられないくせに。


執務室に静寂が流れる。

次第に私は頬を濡らしていった。


「中学の時に両親を失い、寂しさを埋めるように男を求めてました。それでも入隊してからは改めて、訓練に勤しんでいましたが…いましたが……。」


この先を言うのが怖い、受け入れてくれるはずもないのだ、私の気持ちなんて…。


私の目をじっとその赤紫で見つめて続きを待っている。

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