第9章 心は傍に
気付けば気を失っていたようで、今の状況を確認する為に小此木に連絡を取りながら戦場へ急いだ。
「小此木!どうなってる!基地は、みんなは…保科副隊長はっ!!」
「え?神谷さんが飛ばされてからすぐに攻撃をし続けています!」
気を失っていたのはほんの一瞬だったようだ。
状況を教えてくれている小此木の声が途切れた。
どうしたんだ…まさかあの人が…。
近くの崩れた建物に登り状況を確認する。
副隊長があの大きな手に握られている。
銃もない、すぐに駆けつけられる距離でもないし、そんな動ける程の力も残っていない。
死なないでっ…!神様でもなんでもいい、あの人を殺さないで…。
「宗四郎ーーっ!!!」
「皆、よく耐えてくれた。」
この声は……。
次の瞬間、本獣の左腕が落ち、副隊長を握っていた手が開く。
よかった…きっとみんなは大丈夫だろう、あの人が…亜白隊長がいれば、もう何も心配はいらない。