第9章 心は傍に
振り落とされた拳を躱し腕を駆け上がっていく彼を見て、すぐに高く跳んだ。
核は背中、そこを狙う。
副隊長に気を取られている隙に核がある位置を銃で撃ち、その場所に刀を突き刺した。
けど、切っ先がほんの少し食い込んだだけでそれ以上は刺さらない。
「っ!」
背中からそのまま落下していく。
オーバーヒート…鼻血が…。
なんとか着地して副隊長を見た。
彼もオーバーヒートしている、私よりほんの少しだが先に全解放していた。
「っ、副隊長!!」
彼へ向かう余獣が見えて咄嗟に呼んだ。
余獣が自爆し煙で姿は確認出来ない。
副隊長に気を取られていて背後の余獣に気付かず、吹っ飛ばされる。
もしあの本獣が亜白隊長や保科副隊長ならば、部下にあんなことはさせない。
余獣を自爆させているあの赤い本獣は、やはり怪獣だ。
いや、そんなことはわかっているのだが、血も涙もない攻撃に、私たちと同じ言語を操っていても人にはなり得ないのだと再確認した。
煙で副隊長がどこに行ったのかわからないので、本獣を見据える。
そして背後に技を繰り出そうとしている彼を見つけたのだが、すぐに地面を蹴った。
何故かはわからない、ただの勘が伝えてくるのだ。
今がその時だと…身体を張って彼を守る時。
間に合え…!
「っ!なっ…!」
シールドを全開にして副隊長の前に飛ぶと、私たちよりも大きい拳が飛んでくる。
抑え切れるはずもなかった。
私たちはいくつもの瓦礫に穴を開け吹っ飛んでいく。
これじゃあ、庇った意味ないや…ごめんなさい。