第9章 心は傍に
小此木の報告で全小隊が現着、狙撃部隊の編成が完了したこと、倉庫地区の確保が完了したことが伝えられた。
あっちは大丈夫だね…こいつは、私たちが殺る。
みんなの活躍を無駄にしてはいけない。
「喧嘩売る相手間違うたな。この戦い、僕らが勝つで。」
一瞬にして本獣の甲殻の隙間を斬り裂いていく。
今私が刀を振っても邪魔になるだろうと思い、銃で足を撃ち抜いた。
「保科流刀伐術2式 交差討ち。」
先程の攻撃を陽動にし、肩から胸を十字に斬り裂いた。
すぐに4式を繰り出し、両腕を切り落として脇腹や足を斬る。
首も斬れている。
「あー…やっぱ戦いはこうじゃねぇとな。」
首がギリギリ繋がっている状態のまま何度も拳を繰り出し、彼らは殴り合う。
今だ!
副隊長が技を出そうとしているのを見逃さずに、もう一度本獣の足を撃った。
次の瞬間、副隊長が本獣の腕をバラバラに斬り落とす。
「意外と小さいんやな、核は。」
電柱の上から副隊長の6式を食らった本獣は、胸を中心に十字交差に切れ目が入り八つ裂きになる。
倒した…かと思った。
本獣の身体はボゴボゴッと膨れ上がっていき、先程とは比べ物にならない程に大きくなった。
巨大化…正直私は銃器の解放戦力が21%だから歯が立たない。
刀だと大型相手では苦戦してしまう。
クラス大怪獣じゃなければ……だが、そんなことは言ってられない。
副隊長は……ダメだ、2人ではどうにも出来ない。
そんなことを考えていると、膨らんだ本獣から超高温の蒸気が吐き出される。
「放熱とともにフォルティチュード上昇!!…って……。」
9.0、か…この人を守る為なら死んでもいい、その思いは今も変わらない。
私が肉の壁となろう。
私が銃器の解放戦力が高ければ、命を懸けることもしなくていいのに…だが今はそんなことを考えたってダメだ。