第8章 知りつつも
宗四郎の家についてすぐに抱きつかれキスをされる。
「まっ、待って!今日はその…したくない…。」
「セックス?ん、わかった。それ以外はしてええんやろ?」
コクっと頷くとまた唇が重なった。
まだ万全ではない身体で、訓練以外にまた痛めるのは嫌だ。
頬に添えた手に無理やり上を向かせられて、激しく舌が絡まる。
そっと目を開けると目の前に赤紫があり、引き寄せられるように腕を首に回した。
この人に私の全てを奪われる。
ちょっと待っとってと浴室に消えた彼を見送ってキッチンに向かった。
スーパーで買ってきた、今使わないものを冷蔵庫にしまった。
ご飯を作り食べて一緒にお風呂に入る。
「もう泣かせんから…。」
「べ、別に泣いてない。」
ふーんと含みを持たせて後ろからぎゅっと抱き締められる。
ちゃぷ…っと波打った水面を見つめながら、いくら経っても私の胸から広がり続ける水面の揺らぎに顔を顰めた。