第7章 任務の傍らで
ゆっくりと目を開けると医療棟の天井が見えた。
あの後どうなったのだろう、市川や古橋は…。
視界の端に何か入りそちらに視線を向ける。
「……保科副隊長。」
あの時みたいだ。腕を組んで俯き動かない。
どのくらい眠っていたのだろう、気になることはいっぱいあるが、寝ている彼を起こしたくなかった。
廊下からすごい勢いの足音が聞こえてくる。
「璃沙ー!!」
扉を勢いよく開け放ち大声で名前を呼ばれ、副隊長が起きてしまうと彼を見てみると、顔を上げて目を開いていた。
「お姉ちゃん、もう少し静かにしてよ。副隊長が起きちゃった……。」
「璃沙!目が覚めたか!よかった…!」
手が握られ、途端に彼の体温を感じて愛しくなる。
どうやら医療班が私が目覚めたことを姉に知らせたようだ。
私の頭を撫でた彼は姉に向き直った。
「神谷、僕らはこれから上官と部下だけの関係になる。璃沙は全部知っとる、僕らのこと…。」
姉は最初なんのことかわからなかったようだが、すぐに顔が青ざめたのでわかったようだ。
すぐに姉は謝ってきて土下座までしてきた。
いや、いくら頭を下げられても…。
「許しませんよ、2人共。特に副隊長、あなた亜白隊長のことも狙ってるんですか?」
「は……なんのことや?」
怪獣が現れる前のあの言葉を聞いたと言うと笑われた。
「ちゃうよ、あれはそんなんやない。副隊長として、や!」
「え?あ……ごめんなさい…。」
まさかの勘違いに恥ずかしくなり、顔が熱くなってくる。
嫉妬しとるん?と頭をぐしゃぐしゃにされた。
「はよ治して。」
額にキスをされて、その後あまりしないうちに姉はいなくなり、副隊長は入り浸っていた。