第7章 任務の傍らで
お疲れ様ですと振り切って、慌てて基地を出た。
メッセージを送りながら駅に向かい、すぐに電車に乗り込む。
目的の駅で降りてメッセージを確認すると、すでに駅に向かっているようだ。
「げ…鳴海隊長!」
視界に捉えた彼の下に駆け寄り、深々と頭を下げた。
「ごめんなさい、やっぱり保科副隊長が好きです。このまま私を愛してくれているあなたを傷付け続けたくない。今までありがとうございました。」
「ふっ、そうか、わかった。最後に聞きたいことがあるんだが……ボクのことは好きだったか?」
頭を下げたまま零れそうになる涙を我慢した。
泣いていいのは私じゃない。
「あなたとは比べ物にならないくらい小さな気持ちだけど……弦のこと、好きだったよ!」
好きにもいろんな形がある、彼と私の"好き"は似ているようで似ていなかった。
顔を上げて笑った。
きっと笑えてるはず、涙はまだ零さない。
儚く笑った鳴海隊長に心の中で謝り、ありがとうと言葉にした。
鳴海隊長と別れて家に帰り、お風呂やご飯を済ませて、やっぱりあの人に会いたいと、また基地に向かった。
恐らく、今日も基地にいるだろう。
執務室にいなかったので基地内を歩き回って探す。
資料室の方で彼の声がしたので近付いてみる。
「亜白隊長の隣は譲らへんぞ。」
え?いや…どういうこと?本当は亜白隊長が好きってこと?
彼の亜白隊長への想いは特別なものだと思っていたが、私が思っていたのとは違う想いのようだ。
鳴海隊長と別れてきたのに…戻ってきてって言われたから戻ろうとしたのに……。
資料室から離れ泣くのは我慢した。