第6章 別の人
未来って…だって無理なんだもん、あなたにだけは他の人を見て欲しくない。
訓練をしていると突然通信機から名前を呼ばれた。
「なぁ、今どこおる?顔見たいねんけど…。」
いや、今訓練の時間だし…。
「好きや。愛しとる……やから戻ってきてや。」
近くにいた隊員が私の方を見て顔を赤くした。
まさか……慌てて聞いてみると、全体通信になっていたようだ。
大丈夫だ、私が何か言ったわけじゃない、恥ずかしいのはあっち……って言われた私も恥ずかしいわ。
周りは見ずに黙々と訓練を続けた。
訓練は終えたが執務室に戻るのがとても嫌だ。
だがそんなことを言ってられないので戻ると、中之島におめでとう!と言われて首を傾げる。
「ほらほら、今は休憩中だし、イチャイチャしてきていいぞ!」
すでに私たちの関係を知っている小隊長たちは困惑しているようだ。
知らないはずの小此木ですら困惑している。
中之島に背中を押され体勢を崩し、副隊長の顔を胸で潰してしまった。
小学生みたいなことをしないで欲しい…。
「すみません…。」
「ええよ、役得や!」
いや…そんな笑顔で言わないでください。
「なぁ……君が好きなんは誰?ほんまに君が好きな奴のとこ行くんはしゃーない。せやけど、好きでもない奴のとこなんか行くな。」
腕を掴まれ離れることが出来ない。
全部バレてるんだ…彼氏のことが好きなわけではなくて、まだ副隊長を好きなこと…。
どうやらわざと全体通信をしていたわけではないらしい。
休憩で執務室に来た小隊長たちに教えてもらったようだ。