第5章 移り変わり
仕事を終わらせて宗四郎さんの家に帰り、簡単なおつまみ等を作って冷蔵庫に入れ、お風呂を沸かしておいた。
飲むのなら恐らく先にお風呂に入るだろう。
2人が帰ってきて、姉が少し作らないといけないものがあるからとキッチンに立った。
宗四郎さんはお風呂に入るとリビングを出ていく。
「お姉ちゃん、彼氏いるなんて知らなかった…。」
「あーうん…去年くらいから付き合ってるんだけどね、私だけじゃ足りなかったみたい。」
「お姉ちゃんなら、すぐいい人見つかると思うよ。吐き出しきっちゃったら次行こ?」
ありがとうと答えた姉は料理を終え、宗四郎さんの背中を流しに行くと浴室に向かう。
は?
驚きすぎてすぐに止めることが出来なかった。
おかしいでしょ、彼女がここにいるんだけど。
「ま、待ってっ…!」
状況を理解し慌てて私も浴室に向かう。
すでに姉は浴室の扉を開け話しかけている。
どうして宗四郎さんはありがとうと言って招き入れてるの?
いくら一度した仲だとしても、今は私と付き合ってるんだよね?
あれ…付き合ってるよね…?
結局私は誰にも愛されないのだろうか。
いくら男と身体を重ねたとしても、私自身は愛されないのだろうか。
そんなの、いくらしたとしても寂しさを埋めれるはずなんてなかった。