第2章 過去を抱き締める
美男美女カップル…姉と副隊長が楽しそうにご飯を食べているのを遠目で見ていた。
何故私は姉と血が繋がっているのに、こんなにも醜いんだろう。
強い姉と弱い妹、美人な姉と可愛くない妹、優しくて明るい姉と仏頂面で暗い妹。
何を取っても姉とは比べ物にならなかった。
よりによって、そんな姉の彼氏を好きになるなんて思わなかった。
否定していた想いはもう受け入れざるを得ない。
「苦しい…。」
2人から目を逸らし、あまり手がつけられていない食事を戻してトレーニングルームへ向かった。
どんなに努力しても結果は伴わない、それでも頑張っている自分でいたかった、そうしていればいつか彼に近付けると思ったから。
銃器の解放戦力が低くても周りに反対されても、努力をし続け実らせた彼に…。
「オーバーワークやで。飯もほぼ食っとらんやろ。」
食わんとなんも始まらへんやろと、あれからぶっ通しで4時間トレーニングをしていた私に話しかけたのは保科副隊長だった。
少し彼に気を取られたがすぐに目を逸らし、トレーニングを続ける。
「上官の言葉も聞かずに無視か…そんなんやから飛ばされたんとちゃう?」
違う、私が弱いから…だから努力して強くならないと…。
副隊長になって美人な彼女もいる私とは違う、私とは見ている世界が違いすぎる人。
そんな彼の声を聞きながら視界は狭くなっていった。