第4章 過ちは消えない
「神谷さんどうしたんです?」
纏めた資料を小此木に渡す為にオペレーションルームに来ると、私の腰を庇った歩き方に声をかけてくる。
どうしたと言われても…本当のことを言えるわけもなく、トレーニングで痛めたと誤魔化した。
その日の勤務時間が終了した頃、先輩に呼ばれて資料室へと向かう。
「前は遊んでただろ。俺とだって何回もしたじゃないか。」
久しぶりにしようと言われて断ったら、後ろから抱きついてきて腰を擦り付けてくる。
最悪だ…誰彼構わずしなきゃよかった。
「もう好きな人としかしないって決めたんです。」
「はっ、お前の口から出ている言葉だとは思えんな。」
未だに自身を私のお尻に擦り付ける先輩は胸を揉んで首筋にキスをしてくる。
前はこれだけでその気になっていたけど、今は気持ち悪くてしょうがない。
好きな人に愛される喜びを知ってしまったら、他の人とは出来るはずもないのだ。
やめてくださいと抵抗するが、スーツを着ていない女の身体では引き離すことが出来なかった。
「はぁ…無理やりはよくないで?僕かて、無理やりなんてしぃひん。」
「っ!副隊長!!」
突然目の前に現れた彼に手を伸ばすとすぐにその手を取り引き寄せてくれた。
「そいつは誰でもいいんですよ。抵抗しながらも喜んでいるはずですから。」
バカか、好きな人としかしないと言っただろう。人は変わるんだよ。
「好きな人としたいんです。」
副隊長の背中に隠れお腹に腕を回した。
「お前、ついてこい。」
先輩を見ながら顎を入り口の方に捻った。
お腹に回した手を掴み、私も連れていかれる。