第3章 未知
顔を拭いて鏡を見ながら髪を整えていると後ろから抱き締められ、項の少し前にキスをされた。
「んっ…。」
チクッとした痺れに声を漏らして振り返る。
「もう終わりって言ったじゃないですか…。」
「嫌やぁ、終わりたない。もっとさせて……。」
顔を近付けてくる彼の腕から抜け出してリビングに逃げた。
なにあれ、こっちの心臓が持たない。
好き過ぎておかしくなりそう…。
何か用事があるのかと聞かれた為ないと答えると、離さへんと後ろから抱き締められた。
「まあ君の服は全部洗濯機に突っ込んだんやけどな。やから…今日もここにいてや?」
頷くと頬に口付けてちょっと待っとってとリビングを出ていった。
私が好きだからだよね…?だからいて欲しいんだよね?
えっちをするだけでも幸せだと思っていたが、言葉にされないことがこんなにも不安になるとは思っていなかった。
副隊長もそう思っているのだろうか。だから傍に置こうとするのだろうか。
「わっ…副隊長?」
「着とき。」
宗四郎呼んで〜とTシャツを着せてきた彼は顔を髪に擦り付けてきた。
保科さんと呼ぶと意地悪せんといてとキッチンに行く。
彼の匂いがするTシャツの胸の部分を持って鼻を押し付けた。
匂いですらこんなに愛しく思うなんて…。
てくてくと駆け寄り、私も手伝うと朝ご飯の準備をする彼に話しかける。
「簡単なものやから座っといてええで。」
「でも……。」
「ほな…ちゅーして。」
少し身体を傾けて頬を出してくる。
軽く口付けると満足したようで、料理を再開した。
キッチンの目の前に行き台に肘をついて、料理をする綺麗な彼を見つめる。
「やりにくいんやけど…。」
「……かっこいいですね。」
何が!?と少し頬を染めて眉間に皺を寄せている。
可愛い、好き。
私が心の中で何度も好きだと言っていることなんて知らないんだろうなぁ。