第3章 未知
目が覚めたら、目の前に整い過ぎた美しい顔があって、心臓が飛び出るかと思った。
睫毛、長い…。
少しの間その寝顔を見つめてから、起こさないように腕から抜け出す。
このドキドキは…起こさないように動いた緊張からなのか、それとも好きな人と出来てまだその余韻が続いてるからなのか。
さすがに夢だったとかはないよね…一緒に裸で寝てたし。
お酒だって飲んでいない。
トイレに入ってから顔を洗いながら、一夜限りとかそういうのじゃないよねと不安になる。
気持ちはないと言っていたが、本当は姉のことが好きだったら……。
「やだ…。」
「何が嫌なんっ!?」
いきなり扉を開けて入ってきた副隊長に驚いて、彼を見つめながら固まってしまう。
濡れた顔からぽたぽたと雫が零れ落ちていった。
「やっぱ僕としたこと後悔しとる!?やっとことはなくならんけど、忘れろ言うなら…。」
「…ふふ、ははっ!違いますよ、後悔なんてしません。副隊長と出来て幸せですよ。」
目を見開いて抱き締めてくる。
わけがわからずに、また驚いて固まった。
「笑った…璃沙が笑った。あかんやばい…めっちゃ嬉しい。ほんまに可愛ええ…。」
え?笑った?
笑うことがそんなに珍しいのだろうか…そんなに喜ばれると恥ずかしくなる。
というか、副隊長まで濡れてしまう…慌てて引き剥がすと触れるだけの口付けを落とされた。
唇が離れたかと思うと、何度もちゅっちゅとキスをされる。
あぁ、副隊長にも心臓の音が聞こえていたらどうしよう。
唇だけでは飽き足らず、首や胸にまでキスの雨を降らした。
愛されていると期待してもいいですか…?
擽ったさと胸の痛みに耐えきれず肩を押すと、その手を指を絡めて握られ、キスは続いた。
たまに甘噛みまでされる。
こんなにされると変な気分になってしまう。
「おっ、終わりです!もうダメです!」
「ん、わかった。これで最後……。」
お互いの唇が重なり舌が絡む。
溶け合う2つの舌は名残惜しそうに離れていった。