第15章 新しい家族
インターホンを押しすと女性の声が聞こえてきて、一気に心音が大きくなった。
母さんと言っている。おかんとかではないんだ…。
宗四郎によく似た女性が出迎えてくれて、一緒に家の中に入った。
宗四郎のお父さんにも挨拶をし、結婚について話し始める。
「私は何も持っていません、ですが宗四郎くんを想う気持ちは誰にも負けません。不束者ですが、どうかよろしくお願い致します。」
頭を下げたが上げるのが怖かった。
家族もいない、一般家庭の私が宗四郎と結婚なんて…。
「顔を上げてください。璃沙さんのことは予め宗四郎から聞いとります。ご両親を亡くされたこと、お姉さんが亡くなったばかりや言うこと…苦しんでおられたこと…。」
まさか、私がしてきたことを言ったの?
顔を上げて宗四郎のお父さんの言葉に耳を傾けた。
「頑固者の次男坊のことをよろしくお願いします。」
もう一度頭を下げた。涙が零れそうだった。
私の過去を宗四郎から聞いているはずなのに、結婚を許してくれるなんて…。
「頑固者やけど、自慢の息子ですので…きっと、頑固やから璃沙さんのこと離さへんと思うのです。」
「頑固頑固言い過ぎやろ!「ふっ、ふふっ。」あ、笑うた。」
あぁいいなぁ、温かいな…。
宗四郎は信念があるとか意志が強いとか言うてやと嘆いていた。
顔を上げて宗四郎を見れば優しく微笑んでいた。
「泣くか笑うか、どっちかにしぃや。忙しいやっちゃなぁ。」
「ごめ、嬉しくて…。」
笑うててと頬を撫でて涙を拭いてくれた。
「ふふ、宗四郎もそないな顔しはるんですね。」
宗四郎のお母さんがお淑やかに笑う。
どんな顔?と宗四郎はポカンとしていた。