第15章 新しい家族
「璃沙〜そろそろ行くでー!」
今日は墓地に行きそのまま宗四郎の実家へと向かう日。
昨日はまだ準備が終わっていない私の家に来てくれて、準備を手伝ってくれた。
「待ってぇ…まだ終わってないぃ…。」
「ほんまにもう、準備してへんかったし…何してるん?」
忙しかったと呟けばそうやったなと頭を撫でてそのまま、終わっていなかったヘアセットをしてくれた。
器用過ぎでは…。
どうやらこの2連休はあまり一緒にいれなかったからと、宗四郎が頼んで無理やり入れたものだったらしく、仕事に追われて大変だった。
でも私よりも忙しかった宗四郎がしっかり準備を終わらせてるとは何事…。
「体調は悪ない?母子手帳とかは持った?」
持ったと答えながら腕を伸ばし屈んだ彼の首に手をかけて唇を重ねると、そのまま立ち上がらされてちゅっちゅとしてから玄関に向かっていく。
私と宗四郎の荷物は1つのキャリーに一緒に入っている。
1泊しか出来ないからそんなに荷物はない。
タクシーに乗って墓地へと向かう。
立川ではないので少し遠い。
シートに置いた私の手に宗四郎の手が重なると薬指にある指輪を弄っている。
無意識?
宗四郎を見れば、窓の外を眺めていた。
墓地について線香をあげる。
手を合わせて心の中で話しかけた。
お父さんお母さん…お姉ちゃん、私、結婚するよ。
順番は違うくなっちゃったけど、ちゃんと私を愛してくれる人。
今度、子供見せに来るね。
隣で手を合わせる彼を眺めて、何話してるのかな?と呑気に考えていた。
顔を上げた彼に、何話してた?と聞く。
「娘さんをくださいって、絶対幸せにします言うたで。」
意外と長かったのでそれだけではなさそうだが、それ以上聞くことはしなかった。