第14章 隠し事
「僕、新人たちの様子見てくるけど、璃沙も行く?」
どうしよう…動いたらまた気持ち悪くなるかな…いや、行こうかな。
宗四郎と一緒にいたい。
行くと答え隊服を抱き締めながらついていく。
もう怖いものなんてない。あの日の飲み会で散々醜態を晒したから。
インナー姿の宗四郎と隊服の匂いを嗅ぐ私を、みんなちらちら見ながら敬礼をして通り過ぎていく。
「ほんで、それなんなん?前も教えてくれへんかったよな。」
「…どうやら私は匂いフェチのようです。」
「は?……僕の匂い好きってこと?」
頷くと呆れられた。隊服を奪うなと。
だって、服なら本人が離れても持ってられるからいいよねって思ったんだもん。
「何してんすか?副隊長、連隊長。」
「あぁ、奪われた。このままやと身ぐるみ全部剥がされてまうかも…。」
「そんなことしないよ。」
敬礼をして話しかけてきた古橋にふざけて答えるので、すかさず否定した。
新人たちの訓練を見ながら宗四郎の隊服を抱き締め、手袋をしている手を掴んで匂いを嗅んでいると、なんなん?と気持ち悪そうに見られる。
わかってる、自分が気持ち悪いなんて…ここまでする必要はないなと手を離して、新人たちを見る。
隊服も返し、やっぱり休みますと伝え一度隊長室に寄った。
「報告が遅くなってすみません、妊娠5ヶ月です。それで、まだ悪阻が続いていて…今までのように仕事が出来ないので、調整してもらえないでしょうか?」
「そうか、おめでとう!保科とも相談して調整しよう。」
「あ…あの、副隊長には伝えてなくて…副隊長に伝えるのは後1ヶ月待って頂けないでしょうか?」
無理な要求をしているのは自分でもわかっていた。
それなのに亜白隊長はわかったと言って小此木を呼ぶ。
その後は小此木や中之島を交えて調整をし、1ヶ月後にみんなに伝えることにした。
本当は宗四郎に1番に言わなきゃいけないのに…怒られるだろうな。