第13章 復興の中で
目が覚めてボーッとしながらトイレに向かっていると、太腿に何か垂れる。
なんだろうと思い指で掬ってみると…精液だった。
あ…そういえば…あれ……避妊してなかったの?
子供欲しいとか言われた気がする。私も欲しいって言ったような…ダメだ、あまり覚えていない。
どうしよう…飲んだ方がいい?このまま出来ても構わないけど、まだ結婚はしないし…。
いや、太腿についてただけとかありえる?
ダメだ…思い出せない。
ナカから出てくる感覚があるから、そうなんだろうな…。
とりあえずトイレに行ってからシャワーを浴びた。
トイレで出たはずなんだけど、シャワーを浴びながら掻き出してみると、結構な量が出てきて驚いた。
欲しいけどどうしよう…と考えながらまたベッドに戻り、宗四郎の腕の中に戻る。
前も出来なかったし大丈夫かな。
…と前は本当にナカに出たかもわからないのに能天気に考えていた。
そのまままた寝て起きたら、宗四郎も起きていた。
「はよ。」
「おはよ。」
結局その日は避妊について何も言われなかった。
宗四郎も覚えていないのだろうか。
それから1ヶ月程して生理が来ていないことに気付き、検査薬を買った。
まあ、陽性だった。
ちょうど立川の復旧も終わり、これから来年度の隊員募集の準備で忙しくなることもあり、宗四郎には言わなかった。
言わなきゃいけないことなのに言えなかった。
あの大災害があった地区も復興が進み、以前とあまり変わらない姿になりつつある。
そんな中私は、1人で育てようと決心した。
まあ、宗四郎にバレたら僕も育てるとか言いそうだけど。
でもどうせ、結婚は引退してからということになってるから、1人でも大丈夫だろうと甘く考えた。
愛する人との子なら、どんなに辛くても育て切る。
今の宗四郎に負担はかけたくない。
それに…もし…もし堕ろせと言われたら、辛すぎて生きていけない。
私の家族をそんな風に言って欲しくない。
とりあえず、近いうちに産婦人科に行かなきゃ。
私は無意識にお腹を撫でていた。