第12章 大切なあなた
亜白隊長が怪獣14号を討伐したと同時に、9号の声が通信機を通して聞こえてくる。
「立川地区に怪獣9号発生!!」
亜白隊長…!!
足を止めていた私たちはすぐに駆け出した。
早く…早く行かなきゃ!
9号は亜白隊長を狙っている。
取り込む気だ…四ノ宮長官のように……これ以上失ってたまるか、奪われてたまるか!
亜白隊長は絶対に失っちゃいけない、これからの未来に必要な人。
どん底の彼を掬い上げた人、第1部隊に見放された私を笑顔で迎え入れてくた人。
そんな人を奪われたら、例え9号を倒せたとしても、この戦いに勝利したとは言えない。
すぐに駆けつけたい、なのに……クラス大怪獣の大群が私たちを足止めする。
「邪魔ぁああああっ!!!」
高く跳びながら銃を撃ち、近くの怪獣を斬り倒す。
この怪獣たち…シェルターを攻撃してる。
他の隊員たちも疲弊していて、本来の力を出せない。
早く亜白隊長のとこに行かなきゃなのに…私たちは守らなければいけないものが多すぎる。
疲弊した隊員たちも注意をこちらに向けて、市民に攻撃をさせないようにしている。
シェルターにはたくさんの守るべき命たちがある。
9号は亜白隊長を吸収し、東京を拠点に国を陥そうとしている。
何よりも厄介なのは、電波ジャックで隊員や市民に、9号が亜白隊長の首を締めている映像を流されていることだ。
「亜白隊長…どうしたらいいですか…?」
今ここで疲弊した隊員と市民を守るのと、亜白隊長を守りこの国を守るのと…どちらを選んだらいいのですか。
「璃沙!全部守るんや!全てを守り切ってこそ、勝利や!!」
そうだ、元々どちらかなんてない、そんな選択肢なんて存在しない。
「了!!」