第12章 大切なあなた
ふらついた宗四郎に駆け寄り、胸で受け止めた。
膝をついて彼の頭を乗せながら笑顔に涙を零して、私も笑う。
「よぉし、今度こそ怪獣は終わりだ、隊員と戦うぞ!!」
「勘弁せぇアホ、身体動かんわ。」
10号は相変わらず元気だな…。
「お疲れ様。」
「ありがとう。惚れ直した?」
「うんっ!」
これで識別クラスは4体撃破…あとは頼みます……亜白隊長…!
「僕も惚れ直した。大好きや。」
えぇ…私何も出来なかったけど…。
私もと返してしばらく2人で微笑みながら見つめ合った。
少し回復したのか起き上がって肩に頭を預けてくる。
「君は…僕の勝利の女神や。君がいるだけで僕は強うなれる、君がいるだけで死ねへんって勝ちにしがみつける。璃沙がいれば僕は…絶対死なへん。」
だから笑うてて…とその腕の中に閉じ込められた。
「言ったでしょ。私は宗四郎がいれば笑える。」
ぎゅうと締め付けられて、まだそんな力が残っているのかと思った。
私の存在を確かめるかのように、自分の腕がここにあるのを実感するように…片手は後頭部にもう片方は背中で、私は愛しい人にこれでもかという程、その腕から気持ちを流し込まれた。
「でも…。」
「まだ終わってへん。」
9号がまだどこかに潜んでいる。
「全部終わったらご褒美のちゅーしてな、勝利の女神様。あ、ただのちゅーやないで?」
もう相当回復しているようだ。
微笑みながら頷き、私たちは走り出す。