第12章 大切なあなた
「躱せホシナ、璃沙!!」
10号の声で身を屈めて12号の斬撃を躱す。
宗四郎はもう私を庇うことはしなかった。
出来損ないが完璧を討つ…何がなんでも負けられない戦い。
宗四郎は83%から上昇しないスーツの解放戦力では無理だと判断し、戦術を変えて挑むようだ。
投下されたポッドを見て銃を構えた。
宗四郎はあれをやる気だ、私は遠距離から援護する。
装備を外し、ポッドから武器を取り腰に携えた彼はその柄に手をかけた。
保科流刀伐術…一刀型。
二刀型はすでに把握されていた可能性が高い。
でも、宗四郎が一刀型で戦えるなんて知らなかったでしょ。
例え戦闘スタイルを封じられたとしても、刀だけは誰にも譲れない。
銃器は私よりも扱えない、それでも彼が副隊長で在り続けられるのは……刀が彼にとって、絶対的なアイデンティティだからだ。
刀があれば彼は最強なのだ。
防衛隊で最強の近接戦力を誇る彼に、彼の間合いで勝る者はいない。
一瞬で前に進んだ宗四郎は、12号の腕を斬り落としていた。
「1式…朧抜き。」
保科流抜討術…。
もう、私はあなたに置いていかれないように必死だというのに…。
一刀型は通用する…!いける…この戦場を勝利の歓喜へと誘おうじゃないか。
「逃すな、畳みかけるぞ。ホシナ!!」
「言われんでもわかっとるわ。」
深く屈み込んでバチバチと音が鳴る程力を溜めた彼は、抜刀し切っ先を突き出した。
12号の胸に大きな穴が空く。
核を…いや、そこじゃない!10号の同じ位置ではなかった。対策されていてもおかしくはない。
「斬って斬って、斬り拓くのみ。」
宗四郎は頭や腹、背中、肩…いろんなところを斬っていく。
私はその度に12号の攻撃を無効化した。
邪魔はさせない。