第3章 未知
「しゃーない、今日僕ん家で飲もか。明日はお互い非番や、そんまま泊まってき。」
それって……。
「お姉ちゃんは…。」
「前から気になっとったんやけど…なんで璃子さんが出てくるん?聞いてないん?」
首を傾げると帰ったら言うからと手を引かれる。
コンビニでお酒やおつまみを買い、副隊長の家に連れていかれる。
何度も断ったのだが、ええからと連れて来られた。
振り払おうとすれば出来たのにしなかったのは、姉との関係を知りたかったから。
ちょっと待っとってと私をソファに座らせた彼はまたリビングを出て廊下に出ていった。
「今風呂沸かしとるから、なんか食っといてええで。腹減ったやろ?」
おつまみを目の前に出され、お茶が入ったコップをテーブルに置く。
隣の座った彼は璃子さんとは…と話し始めた。
「酔った勢いで1回したことある。やけど、お互い気持ちがあるわけやないし、僕は別に好きな子がおる。」
こないな仕事やから彼女なんて作らんけどなぁと笑った。
姉としたことがあるというよりも、好きな子がいるという方が私の頭を殴ったようだ。
というか、1回とはあの日のことだろうか。保科副隊長の副隊長昇格祝い。
でも、姉の回答に違和感を感じたのはその前だった。
「副隊長昇格祝いの時ですか?」
「ちゃうよ、そん時はしてへん。その前の飲みや。」
姉とだったら好きじゃなくても出来るのか。
いやでも、素面で彼女以外とはしないと言っていた。
姉としたのは酔っていた時だろう。