第12章 大切なあなた
あれから1ヶ月程経ち姉とは話も出来ずじまいで、今日も訓練をしていると、警報音がけたたましく鳴り始める。
緊急怪獣警報…怪獣が現れた。
そしてそれは…地獄の始まりを報せるものだった。
東京中…いや、日本中で怪獣が出現、9号の仕業だと悟った。
「璃沙!お前は僕と来い!」
これは…弔い合戦とも言うべきなのだろうか。
四ノ宮功を失った私たちは力を蓄えた、それはあちらも同じだろう。
いや、弔い合戦であってたまるか、私たちはこの国の未来の為、命が尽きるその時まで戦い続ける。
すぐに宗四郎の後を追ってヘリに乗り込む。
そして着替え始めた宗四郎を見て、口をぽかんと開けたまま呆けてしまった。
待って待って、ナンバーズ装備するの?私が一緒でいいのか?
ナンバーズを装備した宗四郎にとって、私は足手まといではなかろうか。
「さあ、俺を暴れさせろ。ホシナ。」
「はぁ…主導権は僕や言うたやろ。黙って僕に使われとけ。命令すんな。」
本当に喋ってる…。
宗四郎は小此木に対して、喋るスーツがやりにくいと怒っている。
怒る対象間違えてませんか?
史上初の意志を持った怪獣兵器は、それはそれで扱いにくい。
神経同調が出来ない為、意思疎通は会話。
まあそれでも彼は…。
「9号の想像の上をいくには、このくらいのギャンブルは必要や。」
ピョン吉、大丈夫かな…。
宗四郎の胸で喋る10号は正にピョン吉…。
訓練では一度も全開放出来ていない彼らだが、本当にこのままプロトタイプを実戦投入して大丈夫なのだろうか。
「このまま今日もしくじったら、僕は死んでお前は廃棄や。僕、死ねへんねん。死ぬつもりもない。」
「わかってる、その女だろ。それじゃ行くぞ。」