第11章 離れゆく心
私の姉、両親を失ってたった2人だけの家族となった。
私から全てを奪うくせに唯一与えてくれたのは、姉として妹を思う、彼女の心だった。
男と寝て虚しく家に戻ればいつも温かい笑顔をくれた。
嫌いだと思っていた人は、私のかけがえのないものになっていたのだ。
今私を腕の中に閉じ込めるこの人が、私たちにとって大きな存在となり、彼女と築き上げた脆い信頼は崩れ去っていく。
姉は本当に副隊長を好きなのだろうか…もし、私がこの人を選ぶことで離れていくと言うのなら、私はこの手を手放そう。
血の繋がった家族よりも大切なものなんてない。
「お姉ちゃん…。」
話し合わないと、もう大切なものがこの手から離れていかないように…そう思い、愛しい人の腕の中で目を閉じた。