第11章 離れゆく心
副隊長は酔っているくせに手際良くご飯を作り、10分程でテーブルに運んでくる。
もやしと豚バラ肉を電子レンジで温めただけのようだ。
ポン酢をかけて口に運ばれる。自分で食べれるのに…。
美味しいありがとうと擦り寄り、気付かれないように涙を流す。
「もう泣きやんで…ほら、笑うて!美味いんやろ?」
すぐに気付かれてふふっと笑った。
幸せだなと思って出た涙なのに…襲われそうだから助けてと呼ばれ、嬉しい言葉を散々言われ、美味しいご飯まで食べさせてもらえる、やっぱりこの人の隣しか私の幸せはないんだと思った。
「璃沙の居場所はここにあるやんか。あんな言葉、もう気にせんで。」
「ごめん、違うの…今は嬉しくて……ありがとう。」
一度ぎゅうと抱き締められると、次々とご飯が口に運ばれてくる。
自分で食べれると言っても聞く耳を持たない。