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未来の為に【怪獣8号:保科宗四郎】

第11章 離れゆく心


静かに涙を流しながら腕の中に収まっていた。


頭に回された手が額を押さえながら上を向かせてくる。


「あんなん忘れや。僕がやらんかったからヤケになっとるだけや。大丈夫やで、璃沙がいなくなったら僕泣いてまうからな。気にしたらあかんよ。」


何度も瞼や頬にキスをされて、涙を掬い取られる。


もうどうしたらいいかわからなかった。

姉に言われたことも辛くて、よりを戻してくれないくせに優しくされるのも辛くて…それなのに大好きやと何度も囁くから、ぐちゃぐちゃになって涙が止まらない。


「うぅ…っ、うっ…宗四郎だって、私のこといらないくせにぃ…ひっ、うっ…ぅぁああん、ん〜〜バカぁ…。」


彼に当たってどうするのだろう、今泣いてるのは姉が原因だと言うのに。


「そないなことない、僕は璃沙におって欲しい。ほんまにもう、めっちゃ大事やねん。やから、引退するまで待っとって。璃沙の未来は僕のもんや。」


今どんなに甘い言葉吐かれても、涙を誘うだけで信じられなかった。

隊服の前が開かれインナーに爪を立てながら握る。

肌を引っ掻いてしまっているだろう。


「なんで、っ…私を好きに、なったの?うぅ…どこが、好きなの…?」


私より先に好きになってくれていたことは知っていた。


「笑うた顔言うたやん?…あれ、言うてないっけ?よろしくお願いします言うて笑うてたんめっちゃ可愛くてなぁ、一目惚れみたいなもんや。やから君には笑うてて欲しい。」


そういえばいつも笑ってって言われていた気がする。

というか、それって初めて会った時のことだよね…一目惚れだなんて…嬉しすぎて冷えた心がぽかぽかしてくる。

姉の方が美人なのに私に一目惚れしてくれるなんて…。


好きと呟いて首に吸い付いた。

唇を離してそっと彼の顔を見上げると眉間に皺が寄って、さすがに痕をつけるのはダメだったかと不安になる。


「ん〜〜可愛ええ!!キスマつけて泣いとる顔で上目遣いされたら、そりゃあ堪らん!抱きたい!セックスさせてやー!!」


そうだ、この人酔ってるんだった。

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