第2章 本能寺
「(すごい忠誠心。豊臣秀吉は信長の忠実な家臣で有名だったわね。やはり、この人達は本物‥‥)」
「秀吉、光秀。貴様はしばらく黙っていろ。俺はこいつらに話がある」
「私達に、ですか‥?」
秀吉さんと光秀さんがすっと左右に控え、信長様がそばへ歩み寄って来る。
「貴様らは未来から来たと抜かす大たわけで、俺の命の恩人だ。幸いを運ぶ女達に違いない。気に入った」
「は、?」
目を見開くと、信長様は私達の手を取り、
「貴様ら、天下人の女になる気はないか?」
「(この人正気なの?)」
「結構です。そういうの興味ないので」
「は?」
信長様の手をがむしゃらに引き離し、現代から持って来たカバンを抱えて、琴葉と陣営を飛び出した。
ハァ、ハァ、ハァ‥‥‥‥
陣営から山道をただひたすらに走ること数分。私達は漸く足を止めた。
「ここまで、離れれば大丈夫」
「もう!あの人達なんなの!ちょっと失礼過ぎない?!逃げて正解よ!」
そこでふと冷静になり、今の状況を考える。
「おかしいと思わない?私達の習った歴史では『織田信長は、明智光秀に本能寺で討たれ、豊臣秀吉が仇を取った』だったよね?」
「うん、そうだと思うけど‥」
「私達、歴史を変えてしまったんじゃ、、?」
とんでもない結論に達したその時、
リン‥と鈴の音が鳴り、足音が聞こえて来た。
「琴葉、後ろに来て」
「うん‥」
構えの体勢を取り、人影が出て来るのを待った。
「夜分に女子二人が‥どうなさった?」