第11章 春日山城
(琴葉目線)
美桜に経緯を聞かれたから、戦術で落馬して、謙信様に助けられた事から話した。色々心配されたけど、大丈夫だったよと言って美桜を落ち着かせた。
連れ去られた日、美桜が目の前で倒れた時は頭の中が真っ白になった。
一人で追いかけてくる事にも驚いたけど、目の前で身体がスローモーションように倒れていく光景は今でも忘れられない。
「謙信様、お願いします!美桜を、助けて下さい!‥素性を偽っていたくせに図々しいことは承知です‥どうか、このお願いだけでも聞いてください‥!」
美桜の処遇を決めるため、戦場から少し遠い場所で留まった。
「ならん。俺がこいつを助けたとて何がある」
「お願いします‥!大切な親友なんです!私はどうなっても構いません!!」
聞いてもらえるまでずっと頭を下げる覚悟だ。
「謙信、聞いてやろうぜ。琴葉もこんなに言ってるんだ」
「謙信様、俺からもお願いします。美桜さんは同郷の友人なんです」
「俺からも。会ってそんなにだけど。こいつは悪いやつじゃないんです!」
信玄様を筆頭に佐助くん、幸村も頼んでくれる。
「それに謙信、倒れたのは男じゃなく、女の子だったよ。‥何、怪我の具合を見ただけさ」
「‥‥‥女を見殺しにするわけにはいかん‥‥仕方ない。即刻、医者を手配する」
「ありがとうございます!」
信玄様達にもお礼を言った。
「本当にありがとうございます。三人が頼んでくれなかったら今頃‥」
「お安い御用さ。君もあの娘も何か理由があって連れてこられたんだろう
「‥はい‥」
「何故、君たちのような娘達が織田軍にいるんだい?」
庇ってもらったんだ、全てを話そう。
本能寺で信長様を助け、なぜか気に入られ安土城暮らすようになった事。美桜の体術が評価され、戦に連れて行くと言われた事。せめて自分達の意志で行こうと決め、それぞれ看護や弓、馬など生きていく知恵を身につけた事。
未来人である事以外は話した。
「じゃあ、何で美桜は男装なんてしてるんだ?」
「男装の方がいざという時、動きやすいんだって」
「あいつ、体術なんてできるんだな」
幸村が以外そうに言う。
「美桜さんが城下で女の人を助けていたのを見た」
あ、お千さんを助けたのを佐助くんは見てたんだ。
「勇ましい姫なんだなー」
「自慢の友人です」