第11章 春日山城
「(まあ、確かに謙信様の性格なら何を言っても斬って来そう‥)」
義元さんの言ったことに納得した。
「にしても琴葉もよく酒盛りに付き合うよなー」
「謙信様の機嫌を損ねないようにしてくれているから俺達からしたらありがたい」
「聞こえているぞ、佐助」
上座から割と距離はあるはずなのに謙信様には聞こえていたようだ。
「謙信様、せっかく美桜さんと琴葉さんがいるんです。穏便に‥」
「俺が穏便に済ませると思うか。‥斬る!」
謙信様が迫ってきて佐助くんは幸村を連れて逃げる。
「おい、佐助!何で俺も逃げるんだ!」
「ズッ友は斬られる時もズッ友だ」
「意味わかんねーこと言ってんじゃねー!」
謙信様と佐助くん、幸村の追いかけっこを見て広間にいたみんなは大笑いしていた。
「この光景は春日山の日常だからなー」
信玄様と琴葉がいつの間に隣に座っていた。
「信玄、あんまり近いと謙信がまた暴れるよ」
「あいつはいつも暴れているだろう。俺たちはここでのんびり飲んでいよう」
「信玄様のおすすめする甘味、ちょー美味しいんだよ!美桜も食べて!」
「少し甘過ぎない?」
「えーそうかなあ?」
「信玄、甘味を控えないとまた幸村に怒られるよ」
「謙信に追っかけられてるから今のうちさ」
茶目っ子のようにウィンクをする信玄様だが、幸村に見つかり、こっぴどく怒られた。
「信玄様!甘味は控えろって言ってるじゃないですか!没収!」
怒られた信玄様は反省する様子はなくずっとにこにこしていた。
宴は夜遅くまで続いのであった。
私達が部屋に返ったのは深夜だった。
「そういえば琴葉、牢で謙信様に手を掴まれてたけど‥あれ、何話してたの?」
私が眠っている間も謙信様と話していたらしく、聞いてみる。
「えーっとね‥」
琴葉は包み隠さず春日山に来るまでの経緯を話してくれた。