第11章 ずっと前から
悠「どうしたの? またイきそうなの? まだ、ダメ。」
奥を叩かれた瞬間、意識が白く飛びかけるも彼の言葉がそれを押し留める。
達する寸前で止められ再び指で抉られ、執拗に焦らされる。
悠「もっと、焦らされてぐちゃぐちゃになる顔……見せてよ。……俺の前だけで。」
恍惚と屈辱、快感と絶望。
全部をミルフィーユみたいに折り重ねて、悠仁は一心不乱にその中心を貫いてくる。
「もう、ダメ……ゆ、うじ……お願い……イかせて……っ!」
悠「……うん。良いよ。ちゃんと、俺の名前呼んで、イって?」
「悠仁っ……! ゆ、うじぃ……!」
絶叫と共に涙をこぼしながら絶頂に達した身体に、彼の熱も同時に注がれる。
悠「っ……中、出すよ……全部……五条さんの痕、消えるくらいに……!」
どぷ、と奥に熱い飛沫が広がった。
身体を打ち付けるたび最後の1滴まで注ぎ込まれるような感覚に、理性が溶ける。
やがて膝から崩れ落ちるようにその場に座り込むと、悠仁は優しく髪を撫でながら囁いた。
悠「ね、もう……他の男のこと、考えられなくなったでしょ?」
──その言葉通り、もう何も考えられなかった。
――――――――――
薄暗い資料室。
まだ熱の残る空気の中で、ミクは乱れた髪を急いで整え胸元をきちんとボタンで留め直す。
足元には、ずらしたままのヒールが片方転がっていた。
悠仁も黙ったままシャツの袖を直し、乱れたネクタイを緩く締め直していた。
ふたりの間には、さっきまでの沈黙と吐息の余韻が、まだ色濃く漂っている。
悠「……やば、声とか、聞こえてないよな?」
と小声で言った悠仁が、気まずそうに笑ったその直後だった。
コンコン、と控えめなノックの音。
悟「いる?」
――五条悟の声だった。
一瞬、空気が凍りついたように感じた。
ミクは息を飲み、咄嗟に壁際へと身を寄せる。
悠仁が深呼吸をひとつしてから、何事もなかったかのような表情でドアノブを回した。