第2章 言葉に出来ない癖に
“入れてほしい”その1言が、どうしても言えない。
プライドが邪魔する。理性が制御しようとする。
でも身体は、もう限界だった。
「……甚爾さんは我慢できてるんですか?」
ぽつりと、まるで話題を逸らすかのように女は言った。
甚「……あ?」
「だって、さっきからずっと触れてないから……。」
甚「へぇ。」
甚爾はふっと鼻で笑う。
甚「それが何だってんだ?」
「……だから、その、……わたしの……触っても良いですよ……。」
そこまで言って、女は顔を両手で覆った。
耳まで真っ赤に染まって、震える肩と膝。
それでも、なお目の前の男に身を晒すことをやめようとしない。
触れてほしくて、でも“下さい”とは言えなくて遠回しな懇願で自尊心を守ろうとする。
甚爾はゆっくりと立ち上がった。
女の目の前に立ち、その顎を軽く指で掬い上げる。
甚「……そういう言い方、ずるいな。」