第2章 言葉に出来ない癖に
低い声が、耳元で囁く。
その声音だけで女の下腹がきゅんと締まり、ローターの存在を改めて強く感じさせられる。
甚「結局、“触れてほしい”ってことだろ? 指で。……中まで、な。」
「ち、ちがっ――。」
甚「違わねぇよ。……じゃなきゃ、こんなにトロトロにして俺の前に広げてねぇだろ。」
甚爾の手が、ゆっくりと太腿へ触れた。
その指先はまるで熱を持った氷のように、ひやりとしながらも女の熱にじわじわと侵食されていく。
「……っあ……っ。」
それだけで、女の身体が跳ねる。
甚「ほら……中、震えてるのわかるか?」
まだ挿入れたままのローターが女の膣内でぶるぶると微かに震えながら、甚爾の指にその動きを伝える。
甚「こんなに……せっかちにうねって、誰を待ってんだよ?」
「だれ……って……。」
甚「“俺”って言ってみろ。」
甚爾はローターの端をつまみ、そのまま浅く引き抜いた。
「――っ!!」
濡れた音とともに、中から熱がこぼれる。
空になった膣口が、名残惜しげにきゅうっと窄まった。
甚「なあ。“欲しい”って、ちゃんと口にしてみろ。プライド? いまさら守れると思ってんのか?」
甚爾の言葉は、挑発そのもの。
女は目を潤ませたまま、唇を震わせる。
けれど――
言えなかった。
その代わり彼女は無言のまま、そっと指を握った。
甚爾の手を、自らの奥へと導くように。