第10章 遠回り
脱力した身体がソファに沈む。
唇はわななぎ呼吸も整わないほどだったが、甚爾はまだ彼女の身体から抜けていなかった。
甚「……なぁ、ミク。もっと中、欲しいか?」
「……ばか、もう……動けない……。」
甚「そっか。じゃあ、動かさねぇから……俺が動く。」
甚爾は再び彼女の脚を抱え、体位を変えるようにして膝の上に引き上げる。
密着したまま、浅く小刻みに腰を揺らし始めた。
甚「ほら、これなら逃げられねぇだろ……? 朝まで、何回でもイかせてやるよ。」
「っ、ん……や……あっ、あ……!」
そのままミクは、快楽の連鎖に呑まれていった。
彼の執着は一夜で収まることを知らず注がれた液は混じり合いながら何度も膣内をかき混ぜ、理性も羞恥もすべて溶かし尽くしていった。
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シャワーの音が止まった。
湯気が薄く漂う室内に、濡れた髪をタオルで拭きながら甚爾が現れる。
上半身裸のまま無造作に腰にバスタオルを巻いた姿に、ミクは一瞬だけ目を逸らした。
けれど、その視線の奥には昨夜とは違う確かな冷静さがあった。
「……ねえ、甚爾。」
ソファに座るミクの声は、妙に静かだった。
手元のマグカップに指を添えながら、彼女は顔を上げる。
「前に言ってたよね。“ちょっと出掛ける”って。……その【女】、誰?」
甚爾はタオルを頭にかけたまま、その言葉に一瞬だけ足を止めた。
だがすぐに、わざとらしく肩をすくめて息をつく。
甚「今さらそれ、聞く?」
「聞く。だって……私、昨日も……あなたと……。」
言葉の終わりが震えた。
昨夜の肌の熱、声、指先、全てがまだ身体のどこかに残っている。
だからこそ、知らずにはいられなかった。