第7章 沈黙という命令
甚「オマエ……さっき、あの男に抱かれてたんだろ。」
甚爾の声は静かだった。
怒っているのでも、詰め寄っているのでもない。
ただ確信のこもった言葉に、ミクは反射的に目を逸らす。
ふいに腕を掴まれた彼女は拒むことなく連れられるままに彼の部屋のドアをくぐった。
靴を脱ぐ間もなく、甚爾の手が腰を引き寄せる。
背中に回された腕は熱く、指先が肌の上から肉を測るように撫でてくる。
甚「笑えるよな。アイツに抱かれた帰り道で、今度は俺に連れてこられて……。」
耳元で囁かれたその言葉に、ミクはびくりと肩を震わせた。
羞恥が胸にこみ上げる――
けれど、逃げようとはしなかった。
むしろ、彼の指先に縋るように腰がわずかに引き寄せられる。
甚「……濡れてんじゃねぇか。俺に何されるか、もうわかってんの。」
甚爾の手が、スカートの中へ無遠慮に差し込まれる。
下着越しに感じた熱に、くつくつと喉の奥で笑う声が響いた。
甚「今夜は、“道具”を使う。いいよな?」
問うというより、確認。
彼女が返事をしなくても、甚爾はそのまま寝室へと連れていく。
ベッドではなく壁際の低い棚の引き出しが開かれ、そこに揃えられた様々な玩具が目に入った瞬間、ミクの頬がさっと赤く染まった。
「……っ、そんな……。」
甚「“そんな”って、なにが?」
わかっていて、わざと問い返す声が彼女の羞恥をさらに煽る。
ピンク色のローター。
黒光りする細長いバイブ。
メタリックなボールチェーン。
それらが1つずつ取り出され、ベッドの上に並べられていく。
甚「選ばせてやるよ。……どれから、使われたい?」