第1章 お隣さん
静かに、ネグリジェの裾に指をかけた。
薄い布地を指でつまみ、両膝をついてゆっくりと腰を下ろす。
恥ずかしさに耐えながらも、ぬるりとした音を立てて先ほどまで自らを慰めていた指がまたその場所に触れた。
「っ……んんっ……。」
唇を閉じても、声は漏れた。
自分の前で女が自慰を再開する、そのあまりに淫らな光景に甚爾の喉がごくりと鳴る。
甚「……ちゃんと、感じてんのか?」
「や……っ、見ないで……っ……っん……。」
声が、静かに、じわじわと女の理性を溶かしていく。
女の指は止まらない。
むしろ甚爾の視線に晒されることで、より敏感に、より淫らに動きを増していく。
ぬちゃっ、と指が溺れる音。
甘くとろけるような吐息。
潤んだ瞳と、膝の間から覗く艶めいた花弁。
甚爾の目には、それらすべてが欲望を煽る官能そのものだった。
(……そのうち、指じゃ足りなくなるな。)
そう思いながらも、今はまだ“見るだけ”で満足する――
フリをして、甚爾はじっと女を見つめ続けた。
「……っあ、ぁ……んっ……。」
自分の指で己を慰めながら、女は視線の先にいる男――
伏黒甚爾を意識していた。
膝を開き喘ぎ声を隠しきれず顔を真っ赤にしながらも、その瞳はちらちらと甚爾の方を盗み見る。
恥ずかしいのに見られていることで、より深く――
感じてしまう。
「……は、ぁ……っ、やぁ……っ、見てる、の……?」
甚「見てるよ、ずっとな。」