第4章 これで全部
重なった体が深く、重く沈む。
ミクの肌にじわりと汗が滲み乱れた吐息が頬をなぞるたび、彼の体温がさらに熱を帯びていくのが分かった。
甚「……っ、もう、やばい……。」
低くしわがれた声が、耳元に落ちる。
いつも余裕を崩さなかった彼が僅かに呼吸を乱しながら、それでも必死に抑えているのが伝わった。
甚「ミク……オマエ、ほんと……。」
その先の言葉は飲み込まれた。
理性と本能の境界線が、もう限界に近いことを、ミクも肌で感じていた。
深く、深く――
奥まで引き寄せられ、すべてが繋がってしまう錯覚。
ミクの身体が僅かに震えるたび、甚爾の動きもまた僅かに荒くなる。
甚「……そんな顔すんな。止まんなくなるだろ……。」
彼の手が、頬に触れた。
荒い息の合間に、苦しげなほど甘い声がこぼれる。
そして――
甚「もう、抑えられねぇ。」
その1言のあと甚爾の動きは1段と深く、強くなった。
ベッドの軋む音、絡みつく肌、呼吸が交差する。
ミクの身体は彼に翻弄されながらも、どこかそのすべてを欲しているように拒まない。
むしろ、甘く泣きながら彼の名を呼び続けていた。