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モニタリング

第21章 誤魔化し


悠仁は壁に背を預け、腕を組みながらゆっくりと視線を滑らせてくる。

悟「来てくれて、ありがと。……素直で助かるね。」

悟が言う。

だがその声には笑いがなく、むしろ哀しげな響きすらあった。

「話って何ですか……?」

勇気を振り絞って口を開く。

けれど、その問いに答えたのは悠仁だった。

悠「まず、ちょっとこっち来てくんない?」

彼が手を伸ばす。

戸惑っている間に悟が後ろから立ち上がり、そっと彼女の背を押した。

悟「怖くないよ。何もしない。……まだね。」

“まだ”という言葉が引っ掛かる。

けれど抗えない。

抵抗する力が湧いてこない。

会議室の中央、テーブルの前に立たされた彼女を2人の男が挟むようにして囲む。

悟は左から、悠仁は右から。

そのどちらも、いつもの彼らではなかった。

悠「昨日の……男、誰?」

心臓が1拍跳ね、喉がかすかに鳴る。

「……。」

その言葉に背筋が凍る。

悟の目がすっと細められた。

悟「……ねぇ、教えてよ。どこを触られたの? どこを見られて、どこを……啼かされたの?」

囁きながら、悟の指先が彼女の髪にそっと触れる。

震える身体。

拒絶しようとする理性。

けれど過剰なまでの熱に晒された心と体は、完全には逆らえなかった。

悠「ちょっとくらい、俺らにも……触らせてくんない?」

悠仁が、やや乱暴に彼女の手首を取った。

次の瞬間、悟がその手首をたどるように指で脈をなぞった。

悟「ほら、ドキドキしてる。ね? 本当は、期待してるんじゃない?」

「ち、が……ちがう……っ。」

顔を背けようとするも、悟が顎を持ち上げた。
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