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モニタリング

第20章 独占欲と執着


甚「……アイツらと、何を話してた?」

甚爾の指が彼女の顎を掴む。

鋭い眼光が、真っすぐに射抜いてくる。

「なんでもない、ただの――。」

甚「“ただの”? そうやって悟にもガキにも気軽に話しかけて、俺以外の男を楽しませて……。そういう女だったか?」

低く絞り出された言葉が、耳朶にねっとり絡みつく。

否定しようとした唇は、彼の手によって塞がれる。

乱暴に口内へ差し込まれた指が、舌の上をなぞる。

甚「……言い訳なんていらねぇよ。体の方がずっと正直だからな。」

シャツのボタンが引きちぎられる。

彼の瞳は、狂気と執着に満ちていた。

甚「――ガキが触れたこの腕も悟に見せたこの喉も全部、俺が上書きしてやる。」

そう言って、甚爾は舌で喉のラインを這い上がる。

甘くも優しくもない、だが決して雑でもない動き。

確実に彼女の弱点を知っている男の、支配の舌。

ぞくり、と背筋が震える。
 
悟が笑いかけたことが許せなかった。

悠仁と並んで歩く姿が許せなかった。

自分の知らないところで他の男たちと時間を共有しているという事実そのものが、甚爾の理性を焦がしていた。

甚「オマエの中も声も、全部……俺のもんだって、わからせてやる。」

体が甚爾の支配を、求めている。

甚「……ほらな。口じゃ拒んでも、ここはちゃんと俺を待ってたじゃねぇか。」

羞恥に顔を赤らめる彼女に、甚爾は嘲るような笑みを浮かべた。

けれどその目は笑っていない。

鋭く底なしに深く、彼女だけを閉じ込めようとしている。

甚「逃げても良い。けど、その度に俺は、こうやって追いかけて追いつめて奪うからな。」

彼の吐息が耳元に掛かるたび、身体の奥がひくつく。

乱暴なのに、どうしてこんなにも体は応えてしまうのだろう。

その夜、彼女は幾度もその問いを自分に向けながら甚爾に支配された。

ひたすらに意地悪で、優しさなんて1滴も見せないのに――

彼の瞳の奥にある“どうしようもない渇き”が心の底で切なくて、離れられなかった。
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