第14章 他の誰にも渡さない
浅い眠りの中で、誰かの視線を感じて目を覚ました。
シーツに包まれた裸の身体を起こす前に、低く押し殺された声が降ってくる。
甚「最近さ。……帰り、遅くねぇか?」
声の主はもちろん甚爾だった。
裸のままベッドの端に腰かけ、煙草を吸っている。
ホテルの天井を見上げる視線は鋭くけれど、どこか湿っていた。
「……え?」
甚「気づいてねぇふりすんな。夜中にスマホ触って、誰かと連絡取ってんのも知ってる。」
ぐっと胸が詰まる。
ごまかすようにシーツを引き寄せたが、彼はそれを無言で引き剥がす。
裸のまま晒された身体に冷たい空気が触れ、身体がびくんと震えた。